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名門・作新学院を再建した小針崇宏と「強い東海大相模」を復活させた門馬敬治/高校野球名物監督列伝

2020年1月1日 00:00配信

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 高校野球監督とは甲子園に人生を捧げ、数奇な運命を生きる男たち。己のチームを作り上げ、地元のライバル校としのぎを削り、聖地を目指して戦い続ける。

 今回は作新学院の小針崇宏監督と東海大相模の門馬敬治監督が登場!

(以下、文中一部敬称略)

■小針崇宏(作新学院)

 今から11年前の2006年、筑波大卒業後に23歳という若さで名門・作新学院の再建を託され、監督に就任した小針崇宏。

 2009年夏に26歳で甲子園出場を果たし、甲子園出場監督の最年少記録を更新。2011年夏にはチームを49年ぶりのベスト4へ導き、一躍「新進気鋭の監督」としてその名を全国に轟かせた。

 現在は2011年夏から6年連続で夏の甲子園に出場中で、昨年の夏は、エース・今井達也(現西武)を擁して念願の全国制覇。作新学院にとって1962年以来、54年ぶりの快挙を達成した。

◎超攻撃的な小針野球の背景

 名門復活を成し遂げ、33歳で夏の甲子園を制した青年監督の売りは強気な采配だ。滅多にバントはしない。するとしてもセーフティーバントなど攻撃的なもので、送りバントはほぼ選択肢にないと言ってもいい。

 なぜ、送りバントをしないのか。小針はメンタルを大事にしており、メンタルが安定するか否かで結果が大きく変わると考えているからだ。

 つまり、送りバントは成功すればチャンスが広がるが、一方で「決めて当たり前」とされるため失敗した選手の精神的なショックは大きい。失敗して落ち込む選手に平常心を保てというのは、言うほど簡単なことではない。そこで、「平常心を失う危険性」の芽を、先に摘んでおくのだ。

 攻撃的采配の裏には、「無用なプレッシャーを選手に背負わせたくない」という思いが潜んでいる。

◎いいものはいい! ダメなものはダメ!

 また、小針は選手が迷わないように、いいプレーをしたときは「ナイスバッティング」と積極的に声をかけるようにしている。

 その結果、選手は「何がよかったのか」を考え、プレーに対する理解を深め、判断力を養っていくという。叱る場面も含めて「いいものはいい。ダメなものはダメ」というメリハリのある指導が小針流だ。

■門馬敬治(東海大相模)

 1999年に東海大相模の監督になるや、翌2000年のセンバツでいきなり優勝という離れ業をやってのけたのが門馬敬治だ。

 その後も激戦区・神奈川を勝ち抜いて幾度となく聖地へ挑み、2010年夏に準優勝、2011年春に優勝。そして、2015年夏には小笠原慎之介(現中日)を擁して真紅の大優勝旗を手にするなど、輝かしい成績を残し続けている。

◎単なる調整でない名物守備練習

 東海大相模の試合を観戦する機会があるなら、チェックしてほしいのは試合前練習での門馬のノック。

 各ポジションへ順番に打球を打つのではなく、ランダムに様々な打球を打ち分けるのだ。このノックは、「試合で起こりうるすべての状況を想定しておけるように」という考えが元になっているのだが、試合展開をイメージし、心の準備をしておけるメリットは大きい。

◎総帥・原貢氏からの教えを胸に

 東海大学の付属校というと、2015年に亡くなった原貢氏(東海大系列校野球部総監督、三池工、東海大相模の監督として甲子園で活躍)が思い出されるが、門馬監督もことあるごとに原氏からアドバイスを受けてきた。

 なかでも、よく言われたのが「(作戦や選手交代などで)もっと動け!」という言葉だという。

 初の夏の甲子園優勝を果たした2015年夏には、その教えを存分に発揮。小笠原、吉田凌(現オリックス)という両エースの起用法を含め、局面、局面で仕掛けた手が次々と当たり、頂点まで駆け登った。

文=森田真悟(もりた・しんご)

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